観光・サービス業、製造業中心の経済から最先端分野でベトナム経済を牽引する都市へと変貌するダナン。

在ダナン日本国総領事館 総領事
森 健朗 MORI TAKEROU

着任時のベトナムの印象、この1年間の変化

私はこれまでスイスのジュネーヴ、タイ、エジプト、ギリシャ、ニューヨークで在外勤務の経験がありますが、ダナンに赴任して最も大きな印象はベトナム人の親日さを含めた日本のプレゼンスの高さです。在ダナン日本国総領事館は2022年に開設された新しい、若い公館ですが、既にある日本のプレゼンスに応じた活動を示して行く責任があると感じており、その思いは着任1年して益々強くなっています。

例として3点申し上げます。ダナン市への外国投資においては、日本は累積で1位です。製造業、IT関連の投資が多く、近年で開業したホテル三日月 Japanese Resorts and Spa は日本からの最大の投資プロジェクトです。昨年、フエに開店したイオンモールはベトナム中部で唯一の現代的なモールです。日本からベトナムへのODA供与も世界1位であり、大きなプロジェクトではハイヴァン・トンネルやダナン港の改良、ダナンから南に向かう高速道路といった大型のインフラプロジェクトがあり、前2件は今年で完成20周年を迎えます。

次に、日本の国立大学に留学経験があるベトナム人の多さです。全体として理系の方が多く、東工大、宇都宮大学、静岡大学等々の卒業生の方がベトナムに戻り、教職やビジネスで大活躍され、日越友好の大きな推進者となっています。そのような元留学生はハノイやホーチミンにも多くいらっしゃいますが、人口比率密度ではダナンが最も多いとの見方があります。最近はベトナムの大学のレベルの向上もあり、日本の国立大学に学部から行こうとする人が減っており、日本留学試験(EJU)の試験会場の中部での設置を含め、対策が求められています。

3点目として、世界遺産のホイアン旧市街に現存する「日本橋」に見られるとおり、ホイアンと日本との交流の歴史です。江戸時代の初めに御朱印船が最も多く渡航した先がベトナムであり、代表的な港がホイアンです。ベトナムの姫が日本人商人と結婚し、長崎に嫁いだという「アニオー姫」の話は有名で、日越外交関係樹立50周年の2023年にはオペラが制作されました。今年、日本で多数の講演があると聞いています。このような歴史的なストーリーを有する国は日本だけではないでしょうか。ホイアンでは日越国交樹立30周年の2003年に「ホイアン日本祭り」が開始され、2024年には20回目が行われ杉良太郎元日越特別大使、藤井ひさゆき自民党外交部会長(当時)や友好都市等の関係者が多数参加しました。

ベトナムの魅力

ベトナム中部の魅力としては、食べ物が美味しい、自然が美しい、世界遺産が多い、大都会でない分、日本の「昭和レトロ」的な良さが残されている等々ありますが、本日は2つの魅力を御紹介いたします。

ホイアンには17世紀に活躍していた日本人商人のお墓があります。400年以上経ったお墓をホイアン市の遺産保存センターと付近の住民の方がきれいに維持・管理して下さっています。外国人の墓であっても自らのコミュニティーの財産のひとつとして長年、当たり前のように大切に守り抜くというところがベトナムの魅力のひとつです。

また、第二次世界大戦の時にベトナムに来た日本兵の鈴木長治さんが戦後もベトナムに残り、フェで伝えた空手が鈴長空手道流としてベトナム全土に広がっています。本部は今でもフエにあり、道場はダナンを含む各地にあります。今でも小学生から大人まで多くの方がお稽古をされています。訪問した際、すべての道場に鈴木長治さんの遺影が置いてあり、お稽古をする前に全員がお焼香をするそうです。全員が鈴木長治さんは旧日本兵であることを知っており、その上で、日本の武士道を学びたいとして、お稽古をしているそうです。

これらの例にあるとおり、ベトナムには日本人がともすれば忘れてしまった日本の古い良さがあり、日本人が全く知らないところで、日本の古い文化・精神を自らの一部として自律的に守り抜き、継承しています。本来であれば、日本人自らが行わなければならない伝統の維持を日本の知らないところで自主的に行ってくださっています。このような有り難い話はベトナム以外の国にありますでしょうか。ベトナムのこのような素晴らしさを維持していただくことは古き良き日本を残すためにも重要なのではないでしょうか。

今後、中部の日系企業を取り巻く環境の変化

ダナン市が中央政府の指示を受けて最も重視しているのが、半導体・AIと新港・自由貿易区の新設です。今年3月29日のダナン解放50周年記念式典にトー・ラム書記長が参加し、その後視察した訪問先が今年開設された「ダナン第2ソフトウェアパーク2」と新港・自由貿易区の建設予定地です。前者には既にダナン半導体・AI研究訓練センター (DSAC)が入っており、その所長は東京のGRIPSに留学経験のある方です。国際金融センターとしての発展も目指しています。

ダナン市はこれまでの観光・サービス業、製造業中心の経済から最先端分野でベトナム経済を牽引する都市へと変貌しようとしており、これは5年、10年後の日本企業を取り巻く環境に相当の変化を与えると思います。

2026年に向けた ダナン周辺エリアのトピック

短期的な視点としては2つ。
9月からの地方組織の合併(ダナン市とクアンナム省が合併し、「ダナン市」に。)がスムーズに行き、プラス効果が表れるよう見守って行きたい。
トランプ関税の影響、サプライチェーンのシフト、ベトナムの投資先としての魅力などの点が、ダナンは観光業が主体の経済ですが、重要であると思います。

在ベトナム日本人ビジネスへのメッセージ

当館は2022年に開設した若い公館です。ベトナムに3つ目の公館ができてどのようなメリットがあったのかが常に問われていると思います。日越関係は2023年に「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げされました。その実践のために在ダナン総領事館としても全力を尽くしたいと思います。
今後、ダナンは大きな成長が見込まれます。日本企業の皆様には、新たな投資について積極的にご検討いただきたいと思います。その際、ダナン市は自らの成長を模索しているという現実を踏まえ、ダナン市の将来を一緒に作っていくという視点を持つことが有用だと思います。計画段階からダナン市と密接に意見交換し、自社ならどのような貢献ができるのかをインプットして、計画に反映させるような姿勢が重要ではないかと思います。ハノイ、ホーチミンの邦人ビジネスの方も是非中部の魅力を知るために、中部にお越し頂きたいと考えております。

PROFILE
昭和63年外務省入省。ジュネーヴ国際機関代表部、条約局国際協定課、北米局北米第一課、在タイ日本国大使館、在エジプト日本国大使館、国際協力局緊急・人道支援課、大臣官房報道課、在ギリシャ日本国大使館、国際連合日本政府代表部を経て、令和2年3月より国際協力局開発協力総括課開発協力企画室長。令和6年3月在ダナン総領事

在ダナン日本国総領事館 Floor 4-5, Lot A17-18-19, 2/9 street, Binh Thuan Ward, Hai Chau District, Da Nang City, Viet Nam 代表電話番号: +84-(0)236-3555-535

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