べトナム進出ロードマップ② 会社設立・法務・会計・税務

ベトナムにおいて進出する形態やロケーション等が決まりましたら、 次にいよいよ会社設立にあたっての申請に進んでいきます。                       

ベトナムの行政に対して会社設立の申請をする際には、意思決定した事項を 自由に記載しただけでは手続きが進まないケースがあり、 予め認識しておかなければならないポイントが幾つかあります。押さえるべきポイントについて事前に準備をして、専門家のアドバイスを 受けながら、承認を取得することをお勧めいたします。

会社設立

ベトナムで外国法人が会社を設立する場合には、特別なケー スを除いて、まずは投資登録証明書の取得をしなければなりません。 投資登録証明書はIRC (Investment Registration Certificate)と呼ばれており、その名称の通り、どのような投資をベトナムにおいて実施するかを具体的に記載して、承認を受ける申請書となります。 日本の会社情報や事業内容 、独資なのか合弁なのか、様々な事項を所定の申請書に記載することになりますが、特に重要な情報は総投資金額と定款資本金をどれくらいに設定するかが大切なポイントになります。 当然に事業内容においては、ベトナムで活動する製造工程や商流などを詳 細に記載しますが、損益計画の作成が重要になります。 損益計 は最低でも3事業年度の計画を用意することが望ましく、またその収益構造によって承認される総投資金額と定款資本金に影響します。 また製造業であればベトナムの会社に設置する予定の固定資産リストも記載する形となり、導入する機械設備によっても総投資金額と定款資本金に影響します。 粘投質 金額と定款資本金については日本の会社にとっても進出するための予算となりますので、十分に計画を練り、ベトナムの行政審査に耐えうる内容を策定しましょう。

また申請書に添付する必要資料の準備についても事前に把 し ておかなければ、設立のスケジュールに大きく影響します。 一般的に必要な資料については以下になります。

  1. 出資元法人の登記海膽本
  2. 出貴元法人の直前2期分の監査済財務諸表報告書
  3. 出資元法人の残高証明書
  4. 出元法人の代表取締役のパスポート
  5. 出元法人のベトナムにおける会社設立を決定した 取締役会議事録等

さらにこれらの添付資料について、公印確認の上、在日ベトナム大使館での領事認証をしなければならず、その手続きの時間をスケジュールに組み込んでおく必要があります。 以上の事項を整理して、所定の申請書にて申請を実行し、IRCを取得する流れとなります。
次に必要な手続きが企業登録証明書の取得が必要となります。 企業登録証明書は ERC (Enterprise Registration Certificate) 呼ばれており、基本的な意思決定事項を記載して登録の承認を受ける申請書になります。 ERCは特に審査される項目は少ないため、順当に手続きは進みますが、この時点でベトナムの会社の定款等の内容を決めて、その定歌も申請することになります。 定款の内容については会社設立後の運営に影響する内容となりますので、専門家から法律上の Invest Asia 96 取り扱いについてアドバイスを受けながら、前もって作成することをお勧めいたします。 ERCが発行されましたら会社設立の完了となります。

資本金の送金

ERCが発行されましたら会社の印気を作成し、会計ソフトウェアのセットアップ、就業規則の整備など進めていくことになりますが、そのほかベトナム現地における銀行口座の開設を進めていかなければなりません。 ERC発行日から90日以内に出資元法人から意思決定した定資本金を送金しなければならないため、銀行口座の開設は ERC が発行されたら直ちに手続きを開始することが望ましく、事前にどの銀行にて口座を開設するか相談をしておくことがポイントです。 インターネットバンキングを設定することが多く、その際には送金 の作成者と承認者の2名を登録することになり、承認者は ERC 等に登録されている然るべき権限者でなければならないと銀行サイドより求められることが多くあります。 また、資本金については出資元法人が立て替えた設立前資金も加えて設定するケースもあります。 例えばIRCを申請する際にはベトナムにおける有効な不動産賃貸借契約書や基本合意書が必要となり、それらの契約書を締結するとデポジットの支払いが必要となります。 その時点においてはベトナムの会社はまだ設立されていませんので、必然的に出資元法人等で支払いを行わなければなりません。 しかし、そういった設立 の立替金についてはベトナム国外への送金が困難でを断念するケースもあり、設立前立替金も含めて資本金に組み入れる場合があります。 工業団地や状況によって手法が異なりますが、ERCの申請書に立替金としての組み入れを記載すれば良いケースもあれば、一旦、設立した後に再度、増資としてIRC・ERCの変更申請をするケースもあります。 設立前資金の立替金の取り扱いについても事前に検討をして、進出する工業団地管理組合や管轄の投資局等とコミュニケーションを図る必要があります。

ベトナム税制

ベトナムで会社を設立した後は、一般的に個人所得税、法人所得税、付加価値税、事業登録税の対応が必要となります。

  1. 個人所得税
  2. 個人の所得に対して課税される税で、その所得の種類に応じて税率が区分されています。 また、ベトナム国の居住者が非居住者かによっても算定方法や税率が異なります。 日本人駐在員の個人所得税については全世界所得課税方式となっていて、外国法人から国外にて受給していたとしても される仕組みとなっています。 会社の個人源泉所得税の申告納税は売上などの大きさなどによって月次申告と四半期申告に分かれており、年度確定申告により過不足を調整する形式となっています。

  3. 法人所得税
  4. 法人の所得(利益)に対して課税され、標準税率は一律20%で算定されます。 経費にするためには適切に電子インボイスを備置しなければならないなど一定のルールが制定されています。 政策上、投資を推進している地域や工業団地、推進している事業内容などでは優遇税率や減免税などが設けられていることがあります。 優遇税率は収入が発生した年度からスタートし、10年または、15年に亘って10%などの優退税率が適用されます。 減免税は所得がプラスになった年度から、例えば2年間免税 + 4年間 50%減税などの優遇制度を受けることができます。 免税・減税の期間は地域や工業団地によって異なり、それぞれ幾つかのパターンがあります。 ただし、所得がプラスになるまで、いつまでも適用が開始されないわけではなく、収入が発生してから3事業年度経過しても所得がプラスにならなかったら、たとえ、4年目の所得がマイナスであっても免税期間がスタートすることになります。 また優遇税率も減免税も承認を受けた投資プロジェクト以外から発生する所得に対しては適用除外となるため留意されたい。

  5. 付加価値税
  6. 財やサービスの取引時にされる税金で。 売上時にはクライアントから付加価値税を徴収し、仕入れや購買時にはサプライヤーに対して付加価値税を支払う仕組みとなっています。

    一般的には徴収した付加価値税から支払った付加価値税を差し引いて、プラスであればその分を納税し、マイナスであれば翌申告期間に繰り越して、翌申告期間以降の徴収した付加価値税から控除する形式で算定されます。 輸出加工企業(Export Processing Enterprises: EPE)として会社を設立した場合には、関税と合わせて付加価値税も免税となります。 EPEとして会社を設立する場合には、要件を整備して税開局の登録が必要となります。 主な要件は以下になります。

    • ①活動場所の外側との間にフェンスを設置し、商品の出入り口を明確にする。
    • 製品や原材料などの出し入れ場所、保管場所全てに常時 24時間監視するカメラシステムを設置し、所轄の税関局とオンラインにて接続しなければならない。 またカメラデータは少なくとも12ヵ月間保存しなければならない。
    • ③関税年次報告書を作成申請できるように在庫管理システムのソフトウェアを導入しなければならない。

会計システム構築

ベトナムの会計基準は IFRS をモデルに制度化されており、勘定科目のコードや仕訳方法について規定されています。 決算月は3月、6月、9月、12月の4つの内から選択できることになっており、外資企業はベトナム公認会計士による監査を受け、監査済財務報告書を作成しなければなりません。 そして事業年度終了後3カ月以内に監査済財務報告書を添付して、法人所得税の確定申告の申告、税額の納付をしなければなりません。 外資企業にはチーフアカウンタントという会計系の資格を保有している者を任命しておかなければならないことになっています。 ただし設立 1年目もしくは規模が小さい法人は任命しなくてもよいことになっています。 また、チーフアカウンタントは社内の従業員である必要はなく、外部専門家に依頼することもあります。

その他に日常の運営の場面では、電子インボイスの管理や通関申告など、事業が開始すると様々なBPO 関連業務に対応しなければならなくなりますので、内部体制が安定的に構築されるまでは外部専門家からアドバイスを受けることをお勧めいたします。

ベトナム進出ロードマップ

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ベトナムビジネス・工業団地ガイド 「インベストアジア」

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