ベトナム進出ロードマップ⑤ 人材採用
ベトナム進出時、雇用においては、日本と法令や商慣習が異なることから、日本の感覚で進めてしまい、思わぬトラブルを招く可能性もあります。基本的な雇用に関する法令や、特に気を付けたい最低賃金、労働許可証などのポイントをまとめました。
また、昨今人件費も採用難易度も年々上がっていることから、人材獲得においても様々な採用手法が用いられていますので、そのいくつかの例をご紹介します。
労働時間と試用期間について
日系企業が進出時に、日本と同等の残業時間を想定した生産計画を立てていると、法令違反になるケースもあります 。 時間外労衛(残業)でまず問題となるのは、上限が年間・月間・1日で決まっており、実務的にとなることが多いのは、年で認められている労働時間の上限です 。 年間では原則 200時間と決まっています 。 200時間と言うと、月間で割っていただくとかなり少ないことが分かります 。 一定の要件を満たす場合には、300時間に延長できるケースもありますが、それでも日本の残業の感覚とは大きく異なります 。 実際多くの日系企業が、日本の36協定のように労使で合意している場合は、延長できる形への変更を要望しており、各商工会などからも何年も要望を出し続けています 。 ただ、この点については13年前から議論され、その間2回の労働法改正がありましたが、未だ変更はされていません 。この法令に違反した場合の罰則規定もあり 。 罰金が科せられることがあります 。 また、違反を繰り返した場合は、より重い 。 処分となるケースもあります 。
続いて試用期間についてです 。 試用期間は、専門性や技能の高さによって日数が異なります 。 元々60日が上限なのですが、企業法に規定する管理職(労働許可証で規定する管理職と基本的に同等、現地法人社長など経営を指す) の場合には180日となります 。 また、一定の専門性や技術を有する者は30日や60日、その他、製造ワーカーは6営業日など試用期間は様々です 。 その後は本採用となりますので、簡単に雇用解除はできなくなります 。
最低賃金
他国に比べ人件費が抑えられるとして、投資検討時の魅力として挙げられるベトナム 。 とは言え経済は成長を続けており、人件費も年々上昇しています 。 ベトナムも最低賃金制を導入している国のひとつとなります 。 日本のような都道府県ごとの制定とは異なり、経済発展の程度に合わせ4つのエリアに分かれています 。 原則年1回の調整がかけられています 。 しかし採用市場においては、周辺の需給バランスに応じ、実態賃金との差が出るケース、エンジニアや管理などについては、スキルによって日本と同等賃金となるケースもありますので、進出検討時に、周辺調査や人材サービス会社に賃金相場を確認するなどすることをおすすめします 。
基本的にベトナムにおいて 。 有期労働契約は1回のみ更新が可能で、期間は最長36か月となります 。 つまり、36か月以内の期間の労働契約を2回まで結ぶことができます 。 その後は無期労働契約となりますので、労働契約に期限をつけることはできません 。 多くの日系企業は、最初はパフォーマンスなどを見るべく、1回目の有期は1年程度に設定し、更新のタイミングで良し悪しを判断しているようです 。 それで問題がなければ、2回目の有期は長めに設定している企業が多いと思います 。 なお、1回目の有期契約は36か月以内であれば、期間が短くても問題はありません 。
労働契約の期限について
またベトナムで雇用されている外国人の場合は、ワータパーミットを取得しなければ、当然ながら就労することはできません 。 労使間で無期契約として合意されている場合でも、ワークパーミットが取得できなければ労働契約は終了することになります 。 この点は旧法では明記されておらず、そのため、もありましたが、現行法 (2021年改正)では明確になりました 。
解雇について
パフォーマンスが悪いことを理由に解雇することは、日本以上に難しいかもしれません 。 労働法上、解雇が認められるケースはいくつか列挙されています 。 例としては、就業規則に明記された懲戒解雇の理由に該当する場合などが挙げられます 。 しかし懲戒解雇事由は労働法上、一定の日数を無断欠勤した場合や、犯罪行為を犯した場合などに徹定されており、パフォーマンスの悪さは含まれませんし、またそれは、他の解雇事由としても明記されていません 。 こうしたことから、単にパフォーマンスが悪いというだけでは従業員を解雇することは難しいのが現実です 。
採用手法について
- ベトナム国内の採用手法
- 自社雇用以外の採用手法
日本同様ベトナム国内でも、人材紹介会社、求人サイト広告、SNSリファーラル、ダイレクトリクルーティングなどの採用手法に加え、大学への広報などの新卒採用の手法があります 。 また派遣や業務請負など「自社雇用」以外の手法による人材確保も可能です 。 ベトナム国内において、日本人だけでなく、ベトナム人、他外国人の採用を依頼できる日系の人材サービス会社も多数存在します 。 各社にはポジションや職種など得意領域がありますので、数社に依頼し、 相場などをつかみ、採用活動を進めていくことをおすすめします 。
日本でも許認可があるように、ベトナムにおいても「労働者派遣」の事業ライセンスを持った人材サービス会社が複数存在します 。 日本同様に派遣を認められている職種は限定されています 。 ベトナム国内の派遣に限定期間は12か月と定められており、紹介予定派遣として、派遣期間終了後、お互いの合意があれば、紹介フィーを支払うことで自社雇用に切り替えることもできます 。 また製造拠点を自社で持つ前に、海外生産のハードルを下げる「製造業務委託」という手法もあります 。
外国人採用 労働許可証と査証 (VISA)
- 労働許可証(ワークパーミット」
- 査証(ビザ)
- 新規申請の有効期限と延長申請について
外国人のベトナムにおける就労を認める証明書です 。 ベトナムで働く外国人は全て、労働許可証の取得が義務付けられております(免除対象者を除く) 。 市・省の労働疾病兵社会事業、または工業団地、輸出加工区・ハイテクパーク・経済区等の管理委員会より発給されています 。
ベトナムへの入国・滞在を許可する証明書です 。 現在ベトナムの法律では、日本人がビザなしでベトナムに滞在できる期間は、入国日から数えて45日間 。 ※2023年8月15日から 滞在期間が15日から45日に変更となりました 。 それを超える滞在の場合は 。 目的に応じたビザの取得が必要です 。 出入国管理局、またはほかの管轄機関より発給されます 。 ベトナム入国時にはパスポートの残存期間が6か月以上必要です 。
新規申請したワークパーミットの有効期間は、締結される雇用契約の有効期間、外国人労働者がベトナムに赴任する期間、企業のERCに記載されている有効期間、などのいずれかと一致する期間で、最長2年間となります 。 延長申したワークパーミットの有効期間は、上記と一致する期間(最長2年間)とし、延長申請は1回のみ認められています 。 その後は改めて新規申請となります 。